2011年8月8日月曜日

「デザインの骨格」 山中俊治


「デザインの骨格」は著者である山中俊治氏(プロダクトデザイナー/慶應義塾大学教授)の同名のブログをまとめたものと紹介されていることが多く、ブログの方はちょくちょく拝見していたため、わざわざ書籍を買わなくても良いかなと思っていたのですが、早く買って読んでおけばと大後悔(本書は2011年1月29日発行)。

まず、山中氏が前書きでも書いておられますが、ネットで読む文章と、書籍として手に取って読む文章ではその感じ方がまるで違うことに気づかされます。

また、良い紙を使ってます。本書には山中氏の作品写真やデザイン、そのスケッチ等がちりばめられているのですが、その質感をリアルに感じられます。紙質には相当こだわったのではないでしょうか。
ブログではできない本書の読み方として、本の重量を感じながら、その中のスケッチを顔を近づけたり離したり、時に本を回転させたりしながら、そのデザインに込めた山中氏の想いに想像をめぐらす…そんな読み方をオススメします。


デザインとは…といったお話は本書の中身に譲るとして、一番印象に残っているのは、題名にもなっている「デザインの骨格」という言葉。山中氏はそのことについて本書で下記のように語っています(引用・抜粋)
新しくプロダクトをデザインするときに、私は製品の構造を考えることから始めます。デザイナーという仕事は、いきなりスケッチを描き始めるように思われているかもしれませんが、それはもう少し後。まずは既存のプロダクトを調べ、人が使っているのをじっくり見る事に時間をかけます。それと同時に、すでにあるものを分解して研究し、製造の現場に足を運んだりしながら、その製品の骨格の理想型を探ります。


(中略)


故に製品の骨格(構造と部品レイアウト)を考えることが、デザインの根幹だと思っているのですが、実際には、技術者が作った骨格を持ってきて、これにかっこいい外側を付けてくださいと依頼されることが少なくありません。そういうときに、こちらからまったく新しい骨格を提案すると結構、唖然とされます。中にはあからさまに、デザイナーなのにそこまで口を出すのかと言われることも。
以前、スポーツ関連のメーカーでマーケティングをやっていた時、デザイナーと色々とやり取りをしましたが、売れるデザインを考えられる人ほど、その製品を使う人のことを考え、どういう機能がどういう形でどの場所についていることが重要かを勉強しまくっていました。
そして一番製造現場(工場)に足を運ぶのも、その一番売れるデザインを考えられるデザイナーでした。

単なるかっこ良さではなく、意味のあるかっこ良さ、それには製品の骨格を考えることが不可欠なのだと思います。


さて、本書では様々な作品が登場するのですが、ぼくはその中でも一つ目のCyclops(サイクロプス)が大のお気に入りです。
できれば家の玄関に立ってて門番してもらうとか、動けないのが特徴のCyclopsですが、ぼくの後ろで背後霊のように立っててもらうのも良さそうだなぁ... なんて妄想しながら楽しんで読ませていただきました。( '-')b

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